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幾何学時計

社会復帰を目指す元引きこもりの日記。でも多分ドラゴンボールの話題が多い。

無題(2編)

「そもそも言葉ほど不確かなものはない。 燃える氷、生ける死者、永遠の愛……存在しないものでさえ言葉の上でだけは、いとも簡単に成立してしまう。 言葉とは、夜霧に映る影より不確かで、朝に見る夢より遥かに曖昧な、幽鬼のごとく実体なきもの。 それに支え…

祝杯

涙で薄めた血は、神の言葉、夜の露。 それを受け止めたるは銀の杯。 天から落ちた星が海の中、真珠へと変ずる如く、それは杯の底にて薔薇の香り高き天の美酒と成る。 口にすれば、魂を愛撫するかのように、体の隅まで染み渡る。 恋慕の如く我が身は熱に浮か…

救済

我が神よ、何卒我を救いたまえ。 まともに散ることさえ赦されぬ愚かな徒花を、黄金でできたその弦楽の指で摘みとり、 毒に萎れた惨めな花をねじきり、過ぎた苦悩に折れた茎を砕き、自己を厭う気持ちで裂けた葉をちぎり捨て、汝の足下に広がり足る、恒久の花…

死の舞踏

清浄な賢人であった男は己の肉体を切り刻み、涙と血で練り上げて、強靭な肉体へと変貌させる。 悲壮な自戒を舞台衣装として身に纏い、父祖の断末魔を開演の合図に、熟れた薔薇の敷き詰められた黄金の劇場で剣舞を舞う。 燃える月の刃は、絨毯代わりの薔薇を…