幾何学時計

社会復帰を目指す元引きこもりの日記。でも多分ドラゴンボールの話題が多い。

無題(2編)

「そもそも言葉ほど不確かなものはない。

 燃える氷、生ける死者、永遠の愛……存在しないものでさえ言葉の上でだけは、いとも簡単に成立してしまう。
 言葉とは、夜霧に映る影より不確かで、朝に見る夢より遥かに曖昧な、幽鬼のごとく実体なきもの。
 それに支えられる我々人間など、覚めれば消える一夜の夢に過ぎぬのだ」

 

「真に美しいものを目にした時の感動。
 それは言葉では到底捕まえられず、絵でさえも捉えることはできない。
 他者に見える形でその思いを表現できる唯一のものは、語る術はいうまでもなく、形はおろか、色さえもない涙だけなのだ。
 ならば人の思いとは、見ることも触れることも、永遠に叶わぬものなのだろう」