夜の読書の楽しさは格別。
夜半があまりに心地よい。
死者の吐息の静寂と、死者の目の暗闇が、世界には己ただ一人だと、人間は俗悪な言葉と共に死に絶えたのだと、声なき声で告げているかのように。
私の世界は二度と明けぬ、荘厳な永久の夜が続くのだと、そんな錯覚に囚われる。
その陶酔は、手にした優美な詩文を理想郷への切符に変えるほど。
もしかしたら、冬の三日月色した朝の陽と、夜の大火事に照らされる月を目にすることができるのではないかと、そんな叶わぬ望みが叶う気がするほどに。
夜半があまりに心地よい。
死者の吐息の静寂と、死者の目の暗闇が、世界には己ただ一人だと、人間は俗悪な言葉と共に死に絶えたのだと、声なき声で告げているかのように。
私の世界は二度と明けぬ、荘厳な永久の夜が続くのだと、そんな錯覚に囚われる。
その陶酔は、手にした優美な詩文を理想郷への切符に変えるほど。
もしかしたら、冬の三日月色した朝の陽と、夜の大火事に照らされる月を目にすることができるのではないかと、そんな叶わぬ望みが叶う気がするほどに。